この記事の目次
1.はじめに
「行政行為」という概念も前提知識として重要です。
「行政行為」というのは、行政法学上の概念であり、実際の法律では、「処分」もしくは「行政庁の処分」と表現されています。
行政行為と行政処分はほぼ同じ概念です。
2.行政行為の定義
行政行為とは、「行政庁が、公権力の行使として一方的にする、外部に向けた、法律関係を直接に変動させる、個別・具体的な行為」とされています。
[st-kaiwa3]ただし学者の先生ごとに様々な定義が主張されていますので確定した定義があるわけではありません[/st-kaiwa3]
3.行政行為を特徴づける要素
行政行為を特徴づける要素としては、
①法律を根拠として行政庁が行う行為である
②法的効果を有する
③外部的行為である
④具体的な行為である
⑤権力的な行為である
が挙げられます。
4.どんな行為が①~⑤に該当するか?
では、どんな行為が①~⑤を満たすのでしょうか?
たとえば、「大臣が行う許認可の取消し」という判断や「知事が行う営業の停止」の命令、「税務署長が行う課税処分」などが、①~⑤の要素を満たすものとされています。
つまり、これらの行為は、「行政行為」ということになります。
5.行政行為の分類
行政行為にはいくつかの分類がありますが、最も基本になるのは、10前後に行政行為を区分する伝統的な分類法です。
法律行為的行政行為 | 命令的行為 | 下命(禁止) |
許可 | ||
免除 | ||
形成的行為 | 特許 | |
認可 | ||
代理 | ||
準法律行為的行政行為 | 確認 | |
公証 | ||
通知 | ||
受理 |
[st-kaiwa3]『法律行為的』『準法律行為的』、さらに「命令的行為」「形成的行為」という区分も、理屈っぽい話になりますから、とりあえず無視で行きましょう。[/st-kaiwa3]
この中で重要と思われる「下命」「許可」「特許」に絞って説明していきます。
6.下命
下命というのは、国民に対し一定の行為をすること(作為)や一定の行為をしてはならないこと(不作為)、あるいは金銭の支払い(給付)を命じるものです。
簡単にいうと、何らかの義務を課す行為、ですね。
不作為を命じるものを特に「禁止」と呼んで、別区分にする分類もあります。
[st-kaiwa3]①違法建築物の除却命令(壊しなさい!という命令)、②業務の停止命令(10日間営業しちゃダメよ!みたいな)、③課税処分(税金払えや!みたいなものね)などなど。[/st-kaiwa3]
7.許可
許可は、もともとは国民が自由にできると考えられる行為を一旦全面的に禁止にした上で、一定の要件を満たす場合にそれを解除して自由にできるようにするものです。
たとえば、①飲食店の営業許可(不許可も含めて)や②自動車の運転免許などがその具体例になります。
8.特許
特許とは、国民が本来有していない権利や能力を市民に設定するものです。
特許も許可と同じくある行為を適法にできるようにするという点では変わりがありません。
しかし、許可が「本来自由な行為を一定の場合に禁止し」その禁止を解除してできるようにする、という前提があったのに対して、特許は「本来国民が自由になしえない行為」をできるようにする、という点が大きく異なります。
たとえば、①道路や河川の占用許可、②鉱業権の設定、③公有水面埋立ての免許などがその具体例です。
ここで注意しておきたいのが①が「許可」と呼ばれている点です。
実際に①道路や河川の占用について定めている道路法や河川法では「占用の『許可』」という用語が使われています。
しかし、行政法学上の分類としては「特許」に該当します。
[st-kaiwa3]このように、実際の法令で使われている用語法とここで勉強している行政法学上の分類はズレる場合があるのです。[/st-kaiwa3]
まとめ行政行為とは、
〔定義〕行政庁が、公権力の行使として一方的にする、外部に向けた、法律関係を直接に変動させる、個別・具体的な行為
(特徴づける要素)
①法律を根拠として行政庁が行う、②法的効果を有する、③外部的、④具体的、⑤権力的な行為
行政行為の伝統的な分類
行政行為を10種類に分ける伝統的な分類あり
代表は、下命・許可・特許
下命ー義務を命じる行為、
許可-本来自由な行為を一定の場合に禁止した後でその禁止を解除してできるようにする行為
特許-本来国民が自由になしえない行為を特別に許す行為